2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧
新書版一巻・二巻の合本。 アニメ化されるというので、読んでみた。 同じ作者の『これは王国のかぎ』を、”青春アドベンチャー”で聴いたとき、 話のつくりが古い、『ドラえもん』の劇場版のあれ*1とネタがかぶってる、 などという否定的な印象しか抱いていな…
第17回ファンタジア大賞受賞作。 説明を端折ったかのように思える、冒頭の部分を超えてゆけ。 それさえ乗り切ることができたならば、権謀術数渦巻く世界へ、旅立てるだろう。 世界観の詰めが甘い、そう思わせるところも多々ある。 だが、それがいい。 まだま…
デビュー作の正当な続編であり、前日譚。 女の子たちの間の、針を突き刺すような張りつめた空気感。 異性の入り込みようのない、あのふしぎな空気のなかで。 誰が味方で、誰が敵なのか。 確実に一作目を読んでいることが必要だ。と思う。 この作品、一作目の…
長いシリーズになったものです。 ただし、長く続くシリーズがおもしろさを持続しているかというと、そうではない。 終わらせ時を、引き延ばしているように思えるような、そう思うしかないような話の運び(にみえる)。 あまり物語を楽しまなかった幼い頃なら…
御手洗潔シリーズの最新作。 高層ビルを舞台にした、奇っ怪な連続殺人の謎を、御手洗潔が解く!と言った感じの作品。 挿絵をうっかり先に見てしまったせいで、解決におけるびっくり感は大いに減退してしまったのですが、 それでも。島田荘司はすごいのである…
『アリア系銀河鉄道』に次ぐ、宇佐見護を主人公とする短編集の二冊目。 一冊目については、『メフィスト』に掲載されたのをいくつか読んで、 あまり肌に合わないという判断を下していたのでした。 あのころは、柄刀作品をほとんど読んでいなかったのでそのせ…
壁に向かって投げつけたい本、という評判を聞いていたので、おそるおそる読んだ。 そのおかげで、免疫ができていたのか、そこまでの拒絶反応を起こさずに読むことができた。 ちょっとは投げつけたい気分になったが。 読んでいる最中、探偵は未来人なのではな…
永嶋恵美名義での四作目*1。 物語としては、非常に手堅い作り。 読み手を飽きさせない、情報の提示を心がけているように思う。 ただ、章の終わりあたりに付いている名無しのキャラクタのパートだけは余り吸引力を感じなかった。 後々になって必要性が理解で…
この作家の『アクアリウムの夜』に次ぐ小説第二作。 ジャンル横断的な小説、だと思う。 ミステリと思って読むと、つかみ損ね、ホラーと思えば、足下を掬われる。 腑に落ちるようで、落ちない。 地に足の着かない浮遊感を味わいつつ、この作品世界を進むこと…
『ナルニア国物語』全七巻のうちの一作。 書かれた順序でいえば三作目、年代別に並べ直すと五作目に当たる。 『ライオンと魔女』でもあったのだが、意地悪い性格のキャラクタが、とある出来事に遭遇してよい子になる、というのがこの作品でも反復して行われ…
第四回 『このミステリーがすごい!』大賞、大賞受賞作。 医療ものということもあって、少々読みにくそうと敬遠していた面もあった。 しかし、実際読み始めてみると、巻措く能わずのおもしろさであった。 難解な医療用語がたびたび登場して、こちらを煙に巻…
400ページ*2の、大作であった。 しかし、それを感じさせずすいすいと読ませるのは、見事の一言である。 全編通読して、これは特殊ルールを導入した本格ミステリの一種なのではないかと思った。 ただ、「本格」として読むには、少々論理的な裏付けが後付け…
有栖川有栖 『謎は解ける方が魅力的』 エッセイ集。映画の話と、とりとめのない話と、タイガースの話。 タイガースの話は、日本シリーズの段に至り、「ああ、内弁慶シリーズ*1の年の話か」と一人合点した。 個人的には、小説よりもこういった雑文の集積のよ…
アブラム・デイヴィッドスン 『どんがらがん』 前日に読んだかの本も奇想が炸裂、といった趣でしたが、 この本も勝るとも劣らぬ奇想が炸裂、の短編集である。 紡がれる物語の転がる先は、おそらく予想もつかないところだろう。 http://www.scifi.com/scifict…
大槻ケンヂ 『大槻ケンヂ短編集 ゴスロリ幻想劇場』 「ゴシック&ロリータバイブル」という雑誌に連載されていたものと書き下ろしで構成されているのですが、 「ゴスロリなんて飾りなんです!えらい人にはそれが分からないのですよ!」 というか、あまり作中…
C.S.ルイス 『ライオンと魔女』 十年ぶりくらいの再読。 中学生時代は純粋に楽しんでいたのだが、今はそこここに仕込まれているキリスト教の影響、説話的構造に心奪われているのだ。 筆者が描写を避けている部分が数カ所あって、そんなところをどう映画化し…