海堂尊 『チーム・バチスタの栄光』

第四回 『このミステリーがすごい!』大賞、大賞受賞作。
医療ものということもあって、少々読みにくそうと敬遠していた面もあった。
しかし、実際読み始めてみると、巻措く能わずのおもしろさであった。
難解な医療用語がたびたび登場して、こちらを煙に巻こうと手ぐすね引いて待っているのだが、そんなものを無視して読んだところで、この物語はおもしろい。
そういった難解なものを多少放置しているきらいはあるものの、多少の医学知識があれば*1、十分事態は把握できるので、そうそう難解な印象はない。
独特の人物描写のおかげか、キャラクタの立ちっぷりがすごい。
容易に漫画化できそうに思えさえする。手術描写をのぞいては。
関係者に話を聞いて話が進んでいく、ということ自体は単調かもしれないが、それを補って余りあるキャラクタの濃さなのである。
次回作も期待したい。

*1:ブラックジャックによろしく』を読んでいる程度でけっこう