柄刀一 『ゴーレムの檻 三月宇佐見のお茶の会』

『アリア系銀河鉄道』に次ぐ、宇佐見護を主人公とする短編集の二冊目。
一冊目については、『メフィスト』に掲載されたのをいくつか読んで、
あまり肌に合わないという判断を下していたのでした。
あのころは、柄刀作品をほとんど読んでいなかったのでそのせいもあったのでしょうが。
何冊か読んで、いざ、この作品、と言ったところでした。
エッシャー世界」を読み、一冊目のどこが自分に合わなかったのか理解した。
世界を作り上げているのですが、短編であるせいで、それを諒解する前に理解できないまま、どんどん物語が進んでいた、そう思わされていた。
それ以外の作品は、確かに世界を作っている、けれども、我々がいる世界の法則と大きく切り離されたところではない。
それ故に、結論を提示されても、不可解な思いをすることが小さくなっている。
共感しにくいびっくりどっきりから、理解しやすいびっくりどっきりへと。
そのために、どこかで見覚えのあるような事件の状況になってしまっているのですが、それであってもあまりに大きな破壊力を持った結末を用意しているのがすごい。