今日の読了短編

「シフト」 西崎憲*1

「世界の果ての庭」では、ちいさな物語を積み重ね、その中のちいさな繋がりを、すこしずつ、重ね合わせて、と言う物語と見ました。
本作も、一見そういう風には見えないものの、やはり、中心がはっきりしているだけで、まとまっている物語というよりは、拡散に向かっている物語というように、感じました。
伝わっていく過程で、変わっていく。
時が流れ、その間に、変わっていく。
変わっていくセカイを、変わっていく私を、あなたを、繋ぎとめる、写し取る、その結果、このようなかたちができたように思いました。

*1:文学界 2005.12掲載