WHITE ALBUM2、かずさのピアノについて

いくらか考察とか感想とかみているものの、
全くといっていいほどヒロインのかずさの
演奏している(ように見える)楽曲に対する言及が見当たらないので、
人並みよりはちょっと詳しい程度のクラシック好きのわたしが、
身を乗り出して記事をものしてみよう、という、そんなエントリ。
当然のことながらシナリオの展開に触れざるを得ない内容なので、
プレイ予定のあるひとおよびプレイ中のひとは、
とっととお帰り、な感じであります。
それでも読んでみたい、というひとは、
まあ、心の目で見るんだ!としか言えませんのう。
youtubeの動画紹介が多い上、すっごく長くなっているので、覚悟の上、お読みください。
あと、抜けている部分の曲名が分かる方、いらっしゃいましたらコメントなり何なりでご教示いただければ幸いです。


で、まずはintroductry chapterから。
春希にあわせて弾く楽曲が何曲かあるものの、
そちらよりも露骨に彼女の意志を反映している楽曲があって。
ライブ終了後のシーンでの、楽曲です。

GUNSLINGER GIRLのアニメの一期でもこの曲のアレンジが
エンディングだったこともあって、

耳にする機会はいくらかあったかとは思います。
曲名が余りにも雄弁に彼女の心情を物語っていると言えましょう。
あの、夢のような時間は、終わりを告げてしまった。
そういったところを、語っているように思えます。


closing chapterでは、ご存じの通りかずさの登場シーンは一部ルートの大晦日と、
雪菜ルートのエンディングのみ、なので、
対象となるものはありません。ええ。


coda、ここが悲劇でありメインであり。
雪菜ルートでは、追加公演前では一曲しか披露していません。

わたしと同世代ないし20代後半くらい?のひとなら、
ハウス・ザ・カリーのCMで、中村紘子の演奏で耳にしたことがある曲、
と思います。
で、この中村紘子、冬馬親子のモデルになっているのではないかなあ、
というエピソードが、一部要出典ながらWikipediaに載っていて。
母の名前は、曜子。音楽家の家を行き来していた……
本当かウソかは、読み手の想像にゆだねられてはいますが。


冬馬曜子が病を告白する直前、
急にかずさが演奏し出すのが、この曲。

聞いたことがあるとすれば十中八九学校の授業かとは思われますが……
余りにも有名なオペラの序幕の曲。この曲自体はすごく明るい曲ではあります。
しかし、主人公の女性は娼婦、そして、最終幕では結核で死ぬ。
結末はそうなったわけではありませんが、暗示として効果的に機能しているのが分かります。


追加公演前の練習シーン。

チャイコフスキーの有名なバレエ音楽です。
パロディウスだ!でもステージ音楽にアレンジが使われていますので、
シューターのひとは聞き覚えがあるかも。
*1
かずさルート入ったあとでも、この作品の別の曲、

が含まれています。
こちらは、SoftBankのCMでBGMとして使われた曲なので、
ますます聞き覚えがあるかもですね。

くるみ割り人形は、いくつか結末のパターンがあるようですが、
わたしとしては『不思議の国のアリス』と同様の全ては夢の中の出来事であった、
を今回は取りたいと思います。
そう、WHITE ALBUM2のかずさの弾く楽曲、裏テーマに夢があったのではないかと思えるくらいの、
含有率なのであります。春希と過ごす日々は、夢物語。


蛇足ではありますが、
雑誌付録として登場したアルバムのデザイン案は、確実にこれが意識されていたであろうことは、
言うまでもないかと思われます。

ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)

ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)

ジョジョの奇妙な冒険、第五部のスタンド*2でもおなじみの、これ。
真っ白なベースに重ねてロゴ。


追加公演の楽曲は何曲かあるのですが、自分が分かるくらいの有名曲は三曲目のこれくらい。

リストのパガニーニの主題によるピアノ楽曲。
技術が要る、という点で選択されたのかもしれませんね。
それとも、運命の鐘、という意味なのかも。


追加公演の最後の曲は、かずさルートでは曲名もしっかり明記されて。

のだめカンタービレでのだめが演奏した曲、という所で選ばれたのでしょうか。


そして、雪菜ルートの最後で、かずさが演奏したのはこの曲。

それは真冬の夜の夢、だったということを、自分で再認識するためにでも、
弾いていたのかなあ、そんなふうに思わされます。


悪魔の契約にサインをした直後、練習を開始した際の曲は、

有名な、曲です。難易度が高い(だろう)ことは言うまでもなく。


最後に、劇中のセリフを幾つか引用して、締めとしたいと思います。



どこで結婚しようっていうんだよ、あたしたち。
…二人の夢の中でかよ


叶わない夢を語るなよ。
残酷にも程があるだろ?


それは、あたしがどれだけ願っても、
絶対に叶わない夢じゃなかったのか…?


―冬馬かずさ