相沢沙呼 『午前零時のサンドリヨン』のススメ

ラノベ読みに進めたい本年の鮎川哲也賞受賞作。

午前零時のサンドリヨン

午前零時のサンドリヨン

ラノベ読みに進めたい、というのには理由があります。
まずは読みやすい文章!キャラクタは立っているし、ラノベに必要とされている要素をいくつか持っていると思います。
日常の謎を読み慣れたミステリ読み的には三話目まではちょっと、と思われる日常の謎も、ミステリを読んでみたい、と思っているラノベ読みの方ならば純粋に受け入れられると思います。(一応サンプル有り)
結構擦れたミステリ読み、と自負している自分も、最終話には驚かされました。
各編の末尾に添えられた英題も、上遠野浩平リスペクト!ということからだそう。
さすがにしずるさんシリーズほどの奇想はありませんが、結末での驚きは同じ、ぜひぜひ、味わっていってください!

気が早いとは思いますが、ミステリ的にここから展開していって欲しい作品群を紹介しておきたいと思います。

ミステリ内でも特異なこのジャンル、殺人事件が起こらず、ごくごく身近な些細なことを解決していく、というもの。
国内作品で嚆矢といわれているのはこの作品。

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

今年の直木賞受賞作家北村薫さんのデビュー作。
この作品を発表された頃はまだ覆面作家だったのですよね。
男性か、女性か、で結構話題になっていたようです。

ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫)

ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫)

二冊目は、日常の謎の作品集の定型を作ったと言われるこの作品。
社内報に掲載された短編、という体のこの作品集なのですが……。

  • 学園もの

学園を舞台にしたミステリ、というものも結構あります。
選評でも比較対象になっていましたが、

氷菓 (角川文庫)

氷菓 (角川文庫)

こちらはある意味チームプレイ、探偵とワトソン的なものとは違います。
読み比べてみるのも、味があるかもしれません。

退出ゲーム

退出ゲーム

キャラクタの立ち位置的にはこちらの方が近いかも。性別こそ逆ですが。
三角関係、ってのもありますしね。

  • 奇術もの

奇術師が探偵、というのも先行例があって。

奇術探偵曾我佳城全集 秘の巻 (講談社文庫)

奇術探偵曾我佳城全集 秘の巻 (講談社文庫)

奇術探偵 曾我佳城全集 戯の巻 (講談社文庫)

奇術探偵 曾我佳城全集 戯の巻 (講談社文庫)

作者本人も奇術を嗜んでいらした、泡坂妻夫さんの作品。
作中に登場する奇術が、解決に関わる、という点でも共通しています。
とはいえ、こちらは血腥い殺人が起こったりするのですが。
金田一少年の事件簿」「名探偵コナン」で慣れていらっしゃるならば、読めるはず。

私は読んだことはないのですが、

帽子から飛び出した死 (ハヤカワ・ミステリ文庫 30-1)

帽子から飛び出した死 (ハヤカワ・ミステリ文庫 30-1)

ハリー・フーディニをモデルにした奇術師が探偵、という海外の作品もあります。