木堂椎 『りはめより100倍恐ろしい』

第一回野生時代青春文学大賞受賞作。
十七歳の高校生が、携帯電話で作り上げた作品だという。
先に読んだ十二歳の小学生の作品と比べれば、長さの面ではこちらが劣っているが、
はっきり言ってこちらの方がきちんと成立している作品であるというふうに感じさせる。
言葉遣いに七年間のギャップを感じるが、それは時代の流れというものでしょう。
いじめられる側だったので、この描写には大いにシンパシーを感じる。
ただ、近年のお笑いブームで、その様相は大いに変わったのだろうとも考えさせられる。
とにかく結論としては、いじめもいじられもどちらもやられる方にとってはたまったものではないと言うことである。

主人公の姿を見ていて、とある後輩の姿を思い出した。
と言うよりむしろ、本人ではないかとすら思った。
何となく自分の抱いているイメージとダブるのだ。
本人が聞いたらきっと否定するだろうし、けしていじられていたというわけでもなかったから。