森見登美彦 『四畳半神話体系』

手放しで、傑作だ、と思った。
時と人、ループする時間、と言う単語に反応を示す人ならば、きっとすばらしい時間を送ることができるだろう。
癖のある文章に、嫌悪感を抱かぬのならば、万難を排して読むべきだ。
ゲームにし易そうでいて、けしてゲームにはなり得ないであろう、そんな不思議な作品なのである。
最初の四つの選択肢を選んだ、主人公がどのようになっていくのか、それを楽しむ部分があり、
それを楽しんでいるうちは、ああ、まるでギャルゲーの様だ、と思っていられるのである。
だが、反復されているうちに、違和感を覚えるであろう。
だが、それも作者の手の内。
第四話を読むに至って、その違和感を納得に昇華することができるのだ。

そこでは、部分的に『ひぐらしのなく頃に』と同じようなコンセプトを感じる。
ミステリでも、ホラーでもないけれど構造的に。