今日の読了本

茅田砂胡　『クラッシュ・ブレイズ　パンドラの檻』

永井豪作品における『バイオレンスジャック』のようなポジションのこの作品。
何も考えずに娯楽作品が楽しみたいという人にはお勧めですが、
あれがだめこれがだめといった風に考えがちな人にはけして勧められません。
頭を空っぽにして読みたい作品です。

田中啓文　『落下する緑　永見緋太郎の事件簿』

探偵役は後景に沈む。あまり目立たない探偵役かもしれない。
時折自己主張して前へ出て行こうとすることもあるけれど、
どちらかというと事件の背後でちょこちょこと蠢いて、
終末が近づくとぱっと顔を出してそそと事件を解決していく、
そんな探偵に見える。
駄洒落を封印したといっても、独特の擬音は健在なので、
不思議な世界へ運ばれていくのは変わらない。

三崎亜紀　『バスジャック』

『となり町戦争』で注目を集めた作家の第一短編集。
『異色作家短編集』の中に紛れ込んでいても問題のないように思える。
SF的な話が多く感じた。
むしろ、純文学畑から登場したという事実のほうが眉唾物のようにさえ思える。
三、四ページ程度の作品は、まるで星新一の作品のような感覚を覚えた。