今日の読了本

「BG、あるいは死せるカイニス」 石持浅海

読む前は、西澤保彦の作品に代表されるSFミステリだと思っていました。
きっと、時代設定も近未来なのだろうと。
読み進めるうちに、それが誤解だと気づかされました*1
ソウルオリンピック共通一次試験。時代設定が未来であるのならば決して出てきえない単語です。
故に、この作品の時代設定は、過去。
とはいえ、あまりこの設定に意味を感じなかったのでした。
科学技術の進展を鑑みてそこに設定しているのでは、とは思えるのですが、それすらもあまり機能していないように思われます。
作品全体としてみても、妙に力みが感じられるのです。カッパ・ノベルスから出ている三作は非常に論理の冴え、を感じられるのですが、今作は言葉尻をとらえてこれだからこう、と強弁しているように感じられるのです。証拠が物的なものよりも語られた言葉に偏っているせいかもしれません。
平易ではあるものの読解能力を非常に必要とする作品であると思います。

*1:SFミステリではあるけれども舞台は近未来ではない点