桜庭一樹 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫)

先日のオフ会にて、JDC*1の某作と同トリックを用いている、との話を聞いた。
読んだ。
あまりにもあからさまに用いられているので、心もち退いた。
タイトルすら、あからさまに、見えるところに、晒されている。
けれど、この作品の主眼は、そこにはなく、駄目人間再生計画の一環として、
用いられてしまった、そんな事件を描いた点にあると、そう思った。
なぜって?単純に解決編がないからさ。
少女には向かない職業』のように、青空の綺麗な、海辺の町が、印象的だった。
そして、JDCのあの作品を、かくもえぐるように深く鮮烈な傷口に、移植したその手腕にしびれた。

*1:=John Dickson Carr