今日の読了本

歌野晶午 『そして名探偵は生まれた』

400円文庫で刊行された中編が二つと、書き下ろしの中編一つの合わせ技一本な感じの中編集。
400円文庫を購入していた人にはあまり有り難みのない本であることは間違いないと思う。
実際、その三編については長さ以外に纏まる理由が見あたらない。
昨年刊行されて話題になった『女王様と私』の底意地の悪さと比べると、至っておとなしい意地の悪さの作品である。
収録作の中では最後に掲載されている『館という名の楽園で』は、救いようのない前二編と比べるとホロリとくる結末が好印象を残す。