サドルなし自転車

バイトでの話。
チラシを貼りに店頭をぐるりとまわっていた時。自転車置き場にサドルなしの自転車がポツンと一台。どうやらちょっと目を離した隙に置かれた物らしい。持ち主がどんな人なのか気になった。だから、淡々とそこにもチラシを貼り続ける。しばらくすると、その自転車の持ち主がやってきた。その持ち主は、サドルがあったことなど無視して、尻を上げたまま自転車をこいで帰っていった。誰かにサドルを盗まれたままその自転車を愛用し続ける。凄い根性の持ち主ではないか、と思った。