今日の読了本

禁涙境事件」 上遠野浩平

はっきり言って、期待はずれだ。いままでのような強引さが、無茶な説得が、稀薄だ。
ひとつの事件に集中しているわけではない所為もありますが、何より最近の作品には過去の作品の持っていたなんだかわからない魅力が落ちているように感じます。惰性?

「Missing 6・7 合わせ鏡の物語」 甲田学人

このひとほど救いのない物語をライトノベルの中で書く人を知らない。
あまり読んでいないせいかもしれませんが。
主人公達に関しては全く問題はないのですが(言い切ることに若干の問題を抱えつつ)、周囲の登場人物達の使い捨てっぷりの見事さと来たら。
あまりに無造作に死んでいくキャラクターを見ると、西尾維新の作品群を思い出す。
この作品、個人的にはファンタジーと言うよりも伝奇であるように感じるし、ホラー性がとても強いと思う。だから、あらすじの紹介にある「現代ファンタジー」というのに抵抗をおぼえるのです(佐藤心の定義の方が私には良くなじむ所為かも)。
それと、このひとの作品に誤字がなかったのを見たことがない。捕捉が補足になっていたり。ルビが間違っていたり。原稿があがるのが本当に締め切りぎりぎりなのでしょうか、それとも校正の怠慢なのでしょうか?

憐 Ren 刻のナイフと空色のミライ」 水口敬文

ああ、面白かった。
新人賞の受賞作を読む時の醍醐味と言えば、青田買い、大成した時に昔から読んでいたんだと自慢できる、そういったところにあると思う。
だから、面白かった作品に出逢えると、とても嬉しくなってしまう。きっと第二作も面白いに違いないと思って。
ある意味平凡な恋愛話だけれど。SF的な要素も絡み合って、物語にふくらみを持たせている。
緩急の付け方もうまい。きっとこれからも、と期待させてくれる。
次の作品が楽しみだ。