「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」

全四巻、漸く読了。長い長い時間がかかった。
凄い物語であった。滾々と湧きでてくる物語の力を感じた。
敢えて要約するならば、空海と逸勢のホームズ&ワトスンコンビが、長きにわたる因縁話を解決に導く、という物語だ。
小説版の「陰陽師」は未読だが、岡野玲子・画の「陰陽師」ならば読んでいる。清明と博雅のコンビが、かのふたりとオーバーラップする。
それほど、立ち位置が似ているのである。多少ならぬフィードバックがあったものと思われる。
とはいえ、これほどの大長編を読ませる力は本物だ。
本に全く興味のない人間を振り向かせるにはあまりにも長すぎるが、多少ならば本に興味のある人間を振り向かせるには充分な、それほどの傑作である。