加賀美雅之 『風果つる館の殺人』
- 作者: 加賀美雅之
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/08/22
- メディア: 新書
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前作は、伏線と思われる部分がゴチックで書かれているように感じる有様。
その点に関しては、今作において改善が見られる。
ただし、話の作りが、非常に古めかしい。
カーの影響を受けているのでしょうが、あんまりです。
新しいものを導入しているようには、とても思えない。
ベースとなっているお家騒動は、あとがきにも書かれているとおり『犬神家の一族』であるし。
あまりにもそれを引きずりすぎていて。
確かにトリック等においては新味を出そうと努力しているようですが、
それを感じさせない全体の古風さ。
古い革袋に新しい酒を入れようと試みたものの、
見事にこけてしまったように思う。
古き良き時代の探偵小説好きで、時間が有り余っている人ならば、お薦めできる本ですが、
次から次への新刊の波に呑まれている人は、回避しても何ら差し支えはないと思われます。