真山仁 『ハゲタカ』

ハゲタカ(上) (講談社文庫)

ハゲタカ(上) (講談社文庫)

ハゲタカ(下) (講談社文庫)

ハゲタカ(下) (講談社文庫)

この本は、経済小説にカテゴライズされるのだろう。
そんなジャンルの本を読むことになったのは、初めてなのだ。
経済用語に関しては、単語としてのみ知っていて、
意味に関しては全くと言っていいほどわからないそんな初心者のわたしでした。
とはいえ、法学部に通っていて良かったと卒業してから初めて感じましたよ。
民法でもけっこうな鬼門と思われる、物権・債権法のくだり。
訳わからないながらも必死に食い下がっていたことが、この本を読むにあたって役に立つとは。
とはいえ、そんな知識がなくとも、逐次解説が挿入されるので、
読み進むうちに、経済というもののしくみが心もち、わかるというすばらしい本。
お勉強の本ではなく、きちんと小説なのだからなおすばらしい。
経済の小説として構えて読むより、コン・ゲーム小説として読めば、
きっと抵抗もなくするりと読めるでしょう。
最後に明かされる鷲津の過去が、心もちとってつけたように見えてしまうのは、
そこに至るまでの伏線の撒き方が、一部に集中しすぎていたせいに違いない。
その点が気になる以外は、かなり、惹きつけて、放さない。
かなりの牽引力を持つ物語と、思う。