今日の読了本

甲田学人 『夜魔』

『Missing』シリーズで悪役・黒幕を演じ続けたあの二人が暗躍する、ホラー短編集。
ホラー小説であっても、ハッピーエンドを求める人にはけして勧めることはかないません。
幸福な結末を避けるように、物語が進んでいくのですから。
彼岸の論理を、受け入れるということを求められ、即座に諾といえるでしょうか。
ほんとうに弱い人間なのです。だから、願い叶わずに退場していく。
痛むのです。ありもしない手や足が。その物語の中にわたしは存在し得ないのに。
それを耐え切れぬのならば、けして読むことはしてはならないでしょう。

奥付の上の著者紹介で、「民俗学および魔術に関して、知識を豊富に持つ」などと書かれていますが、他に書き方はなかったのでしょうか?
「〜の該博な知識を生かした作風が特徴」とか。
持っているから、だからどうしたの?と思ってしまう。
掘り下げる方向を間違えているように思う。