今日の読了本

「魔術師が多すぎる」 ランドル・ギャレット

一時期論争の種になっていたSFミステリ。
版元でも品切れだか絶版だかなので、入手して読むにしても古本屋か図書館か、といったところだろう。*1
本格ミステリの世界に、魔法を持ち込んだ、ということで刊行当時は非常に新鮮だっただろう。
しかし、いまとなってみると、現実世界に新ルールを持ち込み、その状況下で起こった謎を解く、という作品は多数刊行されており*2、そういう意味では新鮮さは感じられなかった。
この手の作品では、ルールの提示及び読者との共有がうまくいったかが、成否の判断において大きな意味をなす、と私は考えている。
この作品においては、あまりうまくいっていないように思えるのだ。
お国柄の違いと言うこともあるだろうが、「魔法」という言葉に持っているイメージが違い、そのために何か違う、という風に感じてしまったように思う。
解決においては、実際にそこまでの作中で登場した「魔法」しか使われてはいないのだが、イメージの齟齬は埋めがたく、煮え切らない印象を持った。

ソード・ワールドRPGの世界観を用いて書かれた「ジュダ・シリーズ」では、そもそものルールで規定されている「魔法」しか使うことが出来ないので、そういった「煮え切らない」感はなかったのですが。

*1:私は図書館で借りた。

*2:「生ける屍の死」や西澤保彦のほぼ全作品など