今日の読了本

「扉は閉ざされたまま」 石持浅海

刑事コロンボ」のお家芸である犯人の側からの殺人事件の描写。
これを徹頭徹尾、一貫して行ったのがこの作品。
一歩間違えれば駄作に堕しかねないこの趣向、見事に成功したものと思います。
本当にたった一点からの正面突破。大変優れている。
結末の処理の仕方が、「水の迷宮」と同種の傾向になっているのは、
個人的な趣味としてはあまり好ましくないように思います。

「六月六日生まれの天使」 愛川晶

本編も興味深いもののうえ、巻末インタビューも非常に意義深い物だ。
本格ミステリ」というものを広げるものばかりではいけない、というその考え方、非常に重要に思いました。
本編ですが、最近のトリッキーな趣向*1を良く用いる傾向を反映して、初読で作者の奇計を見破るには、かなりの注意力を必要とするかと。

*1:「ダイニング・メッセージ」のあれ、とか。