今日の読了本

「鬼に捧げる夜想曲」 神津慶次郎

鮎川哲也賞受賞作。
粗筋を見た限りでは、横溝正史のパクリか?と思われても仕方ない雰囲気があった*1
最後の最後で金田一耕助らしき人物が登場するので、その予感も全く外れていた、と言うわけではなかった。
少なくとも、この作品は、読む人を選ぶ、と思った。
まず、横溝正史の作品で、映画化されているのならば、大方読んでいる人。
そして、ある程度、ミステリを読み慣れていて、寛大な心を持っている人。
そうでない限り、きっと壁にぶつけたくなっているに違いないと思ったから。
二重底の解決なのである。
それ自体はあまりミステリを読み慣れていない人でも大丈夫だとは思う。
問題はその後だ。
第一の解決があまりにも異形のモノであるが故に、真の解決が、なんだか霧の中のひとつの真実のように思えてしまうのだ。
だから、非常に面白い作品だとは思ったけれど、手放しで薦められる代物ではないのである。

追記

どうも、「十角館の殺人」の角島と、非常に近接したところに、事件の舞台となる島を設定していた模様。

*1:「本陣殺人事件」と「獄門島」を足して2で割ったような粗筋